杉原つやの

本と散歩とアートとか。

天皇への道 / 吉田伸弥

 

天皇への道 (講談社文庫)

天皇への道 (講談社文庫)

 

 著者は元読売新聞記者。今生天皇がお生まれになってから天皇となるまで、よくお調べになったなぁ。ご両親からひとり離れた当時の明仁親王をご教育なさるにあたっては、侍従長や傳育官をはじめ、周りの方々が本当によくよく考えながら迷いながらなさっていたのだな。読み進めながら、僭越ながら親戚の叔母のような感覚を持った。ときにほほえましく、ときに胸が詰まったり(こっそり坊主にするところとか)、日本にただお一人だけの成長譚。ドキュメンタリーっぽい。

戦争前後のご様子を読むと、学生さんという若さでいらしたのに、ご覚悟をなさっていらしたんだと深く感じ入った。高淳皇后のことはあまりよく知らなかったけれど、親王へのお手紙のくだりでは、やはりひとりの母親なのだと思ったし、昭和天皇をお支えになったすごい方だったのだと知った。

学生時代、ご学友のかたと3人でこっそり銀座へ遊びに行ったお話は、それでこそともだちじゃーん!って楽しかった。学生時代の思い出って年とともに輝きを増してくるっていうか、思い出ランキングのトップに君臨し続けるもの。今生天皇もたくさんお持ちなのだなと、うれしかったな。

あー書ききれない。要は、ますます今生天皇がだいすきに。